家事をしてくれる人

この前わが家のパーティーに来て下さった、朝日新聞社の大熊夫妻には、ただただ感心するばかりである。夫の一夫さんは現在、週刊紙の記者であり、実践タイプで、たとえば精神病院のルポをするということになると、自分が患者を装って入院してしまうというような思い切ったこともやってしまう。その上、週刊紙の記者は、どこの会社でも超人的に忙しい。一週間ごとの〆切りで、何が起ころうとも、半頁でも白紙で出すわけにはいかないし、発行の日を変えるわけにはいかないから、三日徹夜ということもあるらしい。他方、妻の由紀子さんは朝日新聞のベテラン記者で社説を書く論説委員の一人なのである。その上、大学生の娘さんもおられるとか。わが家のパーティーの席上、夫の一夫さんは素晴らしいテノールで歌を歌い、妻の由紀子さんは、慣れた手つきでソフトにピアノ伴奏をした。それは、ちょっと練習しての付け焼き刃というのではなく、週に一回や二回は、二人で合わせて楽しんでいらっしゃるとすぐ分かる。呼吸も合っているが、音楽のレベルも、アマチュアとしては相当のものなのである。話を聞くと、大熊家には、お手伝いさんも、家事をしてくれる人もいないようで、夫の一夫さんは料理をはじめ、家事も当然のようにしていらっしゃるという。棄の由紀子さんは、半分友達のように、半分は愛らしい妻の風情でにこにこしながら夫に合わせている。夫婦で一緒にする趣味がもてない理由に「忙しいから」というのは、何の言い訳にもならないことが、大熊さん夫妻にお会いしてよく分かった。思い出は夫婦の財産私があるのは、夫のお陰「昔、ね、銀座のチaリーなんでいわれて、ちょっとツッパッていたことがあるんですよ」六十歳を少し過ぎているはずなのに、何となく女性の香りが、今なおやわらかく体を包んでいるような細谷さんが、あるとき私にポツリと言った。彼女の名前がさくらということからその名前が付いたのであるう。母親が早く亡くなって、彼女は父親の手で育てられた。父親は商売を手広くやっていて、お金に不自由はなかったが、その反面、家庭的な雰囲気を娘のために作ることは難しかったのだろう。彼女が父親に反発し、やけになっていたとき、現在の夫と出会った。彼はそんな彼女の本当の心を見故いて、お互いに愛しはじめ、彼女は立ち直ることができた。「だから:::ね。今、仕事もとても面白いけれど、夫が定年になって家にいることが多いので、二人の時間を大切にしたいの」二人の子供もすでに結婚してそれぞれ家庭を持って暮らしている。